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大河ドラマ『青天を衝け』建築考証・三浦正幸先生に学ぶマチコの知らない”テルマエ・ロマエ的片倉館”




『あゝ野麦峠』という古い映画をご覧になった方がいらっしゃるでしょうか?大竹しのぶが主人公のとても可哀そうなストーリーと聞いています。まだマチコは子供だったので、野麦峠という土地にまつわる映画なのかなというくらいの認識でした。

そのストーリーに出てくる女工さん達は、製糸工場で働く若い女性で非常に悲惨な労働環境にありそれはそれは悲しいお話だったそうです。

しかし、実際にはその映画の話は全くのウソで、当時女工さん達はもっと大事にされていたのです。

女工と言いますが、江戸時代の武士の娘さん達で、武士が失業したために代わりに働き手になった教養のある人たちでした。



「野麦峠の話が真っ赤なウソで地元の人は大変怒っている」と三浦先生がおっしゃっていました。

何故か?というのを今回このブログでご説明したいと思います。



こちらの建物は「片倉館」と呼ばれる昭和3年(西暦1928年)に竣工された重要文化財です。

この建物には今で言ったら「テルマエ・ロマエ」風(今日は映画の話が多いですね)の非常に立派なお風呂がありました。このお風呂は総タイルで古代ローマのお風呂のよう。当時最高の施設でした。まるでプールみたいと思われるでしょうが、実際に首まで水の量があったんだそうです。


何故こんな建物があるかと言いますと、これは女工さんの福利厚生用だったのです。すごくないですか??? 三浦先生のお話によりますと、この諏訪市にある製糸工場の社長は仁徳に溢れた方で、地元に利益を還元したいと、女工さん達だけでなく地元の人もそのお風呂を利用できるようにしていたそうです。立派な社長ですね。


その後1929年に皆さんご存じの世界恐慌が発生し、日本も不景気になる。またナイロンが開発されて絹の需要も下がり、養蚕業は廃れていってしまったのです。


富岡製糸場ができた頃は、絹糸の需要がヨーロッパで高まっていました。それまで日本では手作業で絹糸をよっていたために太い絹糸しか作れませんでした。しかし貿易する際には重さではなく糸の長さで支払いがなされていたため、太い絹糸だと日本はどんどん損をしてしまう。


そこで当時世界一だったフランスから技師を招いて富岡製糸場を建設しました。大蔵省主導でフランスの最新式の機械を導入したのです。


ちょうど大河ドラマでも、外国人商人たちに買いたたかれて、渋沢栄一が蚕の卵が付いた紙を燃やすシーンがありました。それ以前の日本では卵を主に売っていたそうです。


しかし卵の輸出ではたいしたお金を稼ぐことができないため、絹糸の輸出に方向変換したのでした。

富岡製糸場はご存じのとおりレンガ造の建物でしたが、その後“レンガじゃなくてもいいんじゃね?”(とは言ってないでしょうけど)と気づき始めて、酒蔵にガラス窓だけつけた建物で代用できるとばかりに、あちこちに製糸工場が造られたのだそうです。


岡谷市の隣だった諏訪市の諏訪湖のあたりに一番沢山の製糸工場ができました。そうこうするうちになんと日本は世界一の製糸産業国に発展しました。全然知りませんでした。


大正時代に戦艦陸奥や戦艦長門などが造られたのですが、これらは生糸で稼いだ資金でできたということでした。




話は戻って、この時代にできたのが片倉館です。当時の日本一の建物と言っても過言ではないそうです。実は今も一般公開していて、当時の女工さんが入っていた温泉にも入ることができます。是非諏訪湖の方面に行くことがあったらこのテルマエ・ロマエ的な千人風呂にマチコも入りたい!!


この写真の下の方に写っているはずですが、木の手すりのカーブが見事だとのことでした。

職人の技でできたコの字型に曲がった手すりは圧巻で、三浦先生はその手すりを手で触りながら階段を下りるのがとっても気持ちがいい!!とのことでした。いつか片倉館に行ったら手すりを触るんだ!!


他にも世界遺産の屋久杉を天井に使ったり、10m以上の長押など見どころが満載です。


普通は木を途中で切ってトラックに乗せて運ぶのですが、10mともなるとトラックも道を曲がることができず、角に建っている家を壊して運んできたという規格外の資金力を見せつけてきます。笑

ヒノキの1枚板を使ったところもあり、樹齢1000年級の木で天下の名木!億単位の金額と想像できます。


明治大正時代に500年1000年ものの樹木がバッサバッサと切られてしまった。

山奥過ぎて切られるのを免れたのがあの縄文杉だそうです。


マチコは数年前に屋久島に行きました。縄文杉を見るには1泊2日で歩いていかなければならず、その時は時間が無く数時間の滞在だったので、かろうじて弥生杉だけを見ることができました。また時間があったら今度は縄文杉を見に行きたいです♪


※片倉館のことを調べてみるとなんとテルマエ・ロマエのロケ地(2014年)だったようです。さすがですね!


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